前回に引き続き、今日もsmapの謝罪会見
から、ダメなコミュニケーションに
ついて学ぼうというこのコーナー。
なぜ、あの謝罪会見が
「ダメな」コミュニケーションなのか?
なぜ実際に、あの謝罪会見で
(少なくともネット上では)
ジャニーズ事務所に対するブランド
イメージが低下してしまっているのか?
コミュニケーションの「基礎」を元に、
考えてみたい。
ちなみに前回の記事はこちら
→「部屋とSMAPとコミュニケーション
とブランディングと私」
そもそも、謝罪会見は何のため?
言葉の意味を調べてみると
謝罪:罪や過ちを詫びる事
会見:改まった形で、公式の場で人に逢う事
という意味のようだ。
つまり「謝罪会見」とは
公式の場で、改まった形で罪や過ちを詫びる事
なんだよね。
で、簡単に言ってしまえば、この
公式の場で、改まった形で罪や過ちを詫びる事
がきちんと為されていない。
つまり
「謝罪会見」という「コミュニケーション」が成り立っていなかった
ということが言えるんだ。
「コミュニケーション」が成り立つために。
「コミュニケーション」が成り立っていない。
なぜそういうことが言えるのか?
コミュニケーションが上手くいかない
理由を説明するために今回取り上げるのが
「ヤコブソンのコミュニケーションモデル」
というものだ。
言語学者ロマン・ヤコブソンによって
提唱された、言語活動としての
コミュニケーションが成立する為に
必要な6つの要素というもの。
すごくざっくり説明すると、
1.話し手
…誰がメッセージを発しているのか?
2.聞き手
…誰が発信されたメッセージを受け取っているのか?
3.対象
…何について話しているのか?
4.メッセージ
…何故3について話すのか?
3を通して何を伝えたいのか?
5.接触
…どこで、どのように話せば聞き手に届くか?
6.共通の言語
…どんな言葉を使えば聞き手が理解できるか?
というものだ。
この6つの要素でズレが生じてしまう
と、コミュニケーションが成立しなく
なってしまうということなんだ。
今回問題とされているのが、
色々な方が言っているように
「誰のための会見なのかが分からない」
「何のための会見なのか分からない」
というものだ。
ヤコブソン・モデルを使って考えると
2.聞き手
…誰が発信されたメッセージを受け取っているのか?
3.対象
…何について話しているのか?
4.メッセージ
…何故3について話すのか?
3を通して何を伝えたいのか?
この部分にズレが生じているのでは
ないか、という風に考えられる。
そもそも、誰に言ってるの?
ではまず、
2.聞き手
…誰が発信されたメッセージを受け取っているのか?
について考えてみよう。
あの会見をチェックしてみると
「たくさんの方々」
「みなさん(みなさま)」
という言葉しか出ていない。
つまり、不特定多数、ぼんやりとした
対象に向けて話している、ということだ。
当たり前の事だけど
「誰に向けて伝えようとしているのか」
これがぼんやりしていては、当たり前
だけど伝わらない。
良く使われる例だけど、あなたが町中で
事故に遭遇したとする。
あなたは倒れている人を介抱しようと
していて、近くを歩いている人たちに
救急車を呼んでもらいたいと思っている。
その時に
「誰か!救急車を呼んでください!」
と言うのと
「そこを歩いている紺のスーツを着て黒いキャリーバックを持っている髪の短い男性のあなた、救急車を呼んでください!」
と言うのとでは、あなたの伝えたい事が
届く割合は大きく変わる、ということなんだ。
今回smapが行った会見では
「誰に対して」伝えようとしているのか
がよく分からない。
もしかしたらファンに向けてなのかも
しれないし、もしかしたらマスコミ
各社かもしれない。
もしくはスポンサーや広告代理店かも
しれないし、全然違う誰かに向けて
なのかもしれない。
だから、多くの人が、少なくとも
業界人ではない一般の人、特に
smapファンにとっては「モヤモヤ」
させられてしまった、ということなんだ。
当たり前のことだけど、ラブレターは、
特定の誰かに向けて書くよね?
「ごめんなさい」って言うときは、
特定の誰かに向けて謝るよね?
頑張ってダイエットをしている人に、
脂たっぷりの揚げ物とかを勧めないよね?
でも、今回のsmapをはじめ、
多くの人が、多くの場面で、
こういうことをしてしまっている。
あなたの伝えたい事。それは誰に向けて
伝えようとしているのだろうか?
一度考えてみて欲しい。
という訳で、続きは次回に。
阿部 龍太
【追伸】
「使える」ブランディングについての
より深い情報や、あまり表には出せない
裏話等は、メルマガで書いてます。