「かながわ女性の活躍応援団」プロジェクトの酷評を、言語学の観点からざっくり考えてみた。

そんなんじゃ、炎上するのはアタリマエー(byアルシンド)

 先日、こんな記事を書いた。

→smapだけじゃない「伝わらない」
コミュニケーション

今回取り上げた、神奈川県の

「かながわ女性の活躍応援団」

というプロジェクトにおいて、
smapの謝罪会見のような、
コミュニケーションの大きなズレが
あった、という話だ。

プロジェクトを頑張っている人に失礼
かもしれないけれど、コミュニケー
ションについて学ぶ上で、結構いい
題材なので、感謝しつつ是非学ばせていただこう。

 

何がズレていたのか?

今回も、smapの謝罪会見の記事で取り上げた、

「ヤコブソンのコミュニケーションモデル」

で考えてみよう。

 念のため、このモデルをもう一度
ざっくりご紹介しておく。

1.話し手
…誰がメッセージを発しているのか?

2.聞き手
…誰が発信されたメッセージを受け取っているのか?

3.対象
…何について話しているのか?

4.メッセージ
…何故3について話すのか?
 3を通して何を伝えたいのか?

5.接触
…どこで、どのように話せば聞き手に届くか?

6.共通の言語
…どんな言葉を使えば聞き手が理解できるか?

 

これらの項目について、ズレが無いか
どうか、考えてみよう。

サイトを見たレベルでこれらの項目を
チェックしてみると、こんな感じになる。

→「かながわ女性の活躍応援団」のサイトはこちら

 

1.話し手
神奈川県と、県内の大企業の経営者の方々

2.聞き手
働きたい女性

3.対象
「女性にもっと生き生きと働いてもらおう」

4.メッセージ
女性雇用の拡大、女性管理職の増加

5.接触
インターネット

6.共通の言語
日本語

 

とりあえず深く考えずに、あのサイトを
見る限りでは、こんな感じになると思う。

そして残念ながら、現時点でのこの
プロジェクトの一般的な評価は芳しい
ものではない。

その理由は、前回の記事でも書いたけれど

「女性が、どんどん主役になる」

というキャッチなのに、イメージ画像
には男性しかいないという声が多いからだ。

 

ところが、だ。

プロジェクトの方にも言い分はあるらしい。

サイト内の文章を引用してみよう。

女性が活躍するための取り組みに積極的で、神奈川にゆかりの深い企業のトップ10人と知事によって誕生した応援団です。

性別に関係なく働き続け、個性と能力を発揮できる社会の実現に向けて、社会全体で女性の活躍を応援する機運を高めていくことが、その目的です。

女性の活躍を推進するためには経営者層の意識改革が重要であり、企業のトップが直接働きかけることが効果的だと考えています。

また、日本の企業のトップの 多くは男性であり、その意識改革には男性から男性への呼びかけが有効であることから、今回の応援団のメンバーはあえて男性としました

(「かながわ女性の活躍応援団」サイトより抜粋。太文字と下線は阿部によるもの)

 どういう事かと言うと、このプロジェクトは

「女性にもっと活躍して
もらう為に、企業の
経営者の意識改革を促そう」

というものなんだそうだ。

 

つまり、上記のヤコブソンモデルの

2.聞き手
働きたい女性

という部分は、実は

2.聞き手
(神奈川県内の)企業の経営者

ということだったんだ。

 

発信する側に

「経営者の皆さん、女性に
もっと生き生きと働いて
もらえるよう頑張りましょう!

私たちが応援しますよ!」

という思いがあったのに、受け取る側は

「女性の皆さん、もっと
生き生きと働きましょう!

私たちが応援しますよ!」

という風に受け取ってしまった。

このミスコミュニケーションが、
あのような非難が巻き起こった理由では
ないかと僕は考えている。

つまりここに、発信する側と
受け取る側の「ズレ」があったんだ。

 

ではなぜ、そのような「ズレ」が
生じてしまったのか?

それについて、次回、解説したいと思う。

お楽しみに。

 

→to be continued…次回はこちら

 

阿部 龍太

 

【追伸】

「使える」ブランディングについての
より深い情報や、あまり表には出せない
裏話等は、メルマガで書いてます。

もしよろしければこちらから登録してください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る