「オリジナル」って一体なんだろう?

「あなたは、あなたの一生以外の何ものでもない」by サルバドール・ダリ

先日、何人かの知人と
ご飯を食べていたときのことだ。

一人の経営者の男性が
僕にこんな話をしてくれた。

仮にYさんとしておこう。

 

(Yさん)
どうしたらオリジナルを
生み出せるんでしょうか。

私の会社なんて
有力な同業他社数社のいいところを
組み合わせてるだけで、
私自身のスピリッツ(想い)以外に
何のオリジナリティも無いんですよ。

 

さて、あなたはYさんに対して、
何を伝えてあげられるだろうか?
少し考えてみて欲しい。


さて、僕がお伝えしたことは
こんな感じだ。

ここからはYさんとあなたに向けた
メッセージとして書く事にする。

 

Yさん(そしてあなた)へ向けてのメッセージ

Yさんのご質問には、
二つの側面があると思います。

そもそもYさんは
『オリジナリティ』というものを
どのように捉えていますか?

もしかしたら

この世に一つしか無い、
唯一無二のもの

だと思われているんじゃないですか?

もしそれに近い事を思われている
のであれば、それは大きな間違いです。

 

そもそも

「この世に一つしか無い、
唯一無二の物」

というものは存在するのでしょうか。

例えば芸術家のサルバドール・ダリは
フェルメールを指して

彼は「唯一無二」の存在であり、
彼が絵を描いている様子を10分間
観察させてもらえるならば、
直ちに自分の左手を切り落とす
くらいのことはできる。

と言っています。

 

確かにダリにとって、フェルメールは
唯一無二の存在かもしれません。

でもYさん、
あなたにとってはどうでしょうか?

もしYさんが絵に非常に強い興味を
お持ちでなければ、確かに
フェルメールはすごい画家かも
しれないけれど、他のすごい画家の
人たちと同じような人である、というように

「“すごい画家”というひとつの同じグループ」

にまとめてしまいませんか?

 

神ですら宗教によっては
唯一無二とされる存在が違います。

つまり、

「誰にとっても絶対的な唯一無二の存在」

というものはこの世にはないんです。

多くの人が神の如く崇めている
「お金」ですら不要とする
自給自足生活をされている方も
いらっしゃるのですから。

絶対的な唯一無二の存在は、
それを受け取る人の中にあり、
矛盾しているようですが、
受け取る人の数だけ
唯一無二の存在がある
ということなのです。

「受け手の問題」これが第一の側面です。

 

そして第二の側面、
それはYさんご自身の中にあります。

「オリジナルというのは、既存のアイディアの組み合わせ」

とよく言われていますよね。

そういう意味では、
Yさんは同業数社のいいところを組み合わせている。

そしてさらに、Yさんご自身の
スピリッツ(想い)もある。

それをオリジナルと言わずして
何と言うんでしょう?

有名な話ですが
「iphone」の内部機構に
アップルのオリジナルのものは
ほとんどないそうです。

ではiphoneはパクリ製品なのでしょうか?

違いますよね?

 

そして、上記二つの側面以上に
大きな問題があります。

それは、

Yさんのやられていることが
オリジナルかどうかということ
ではなく、Yさんご自身が、
Yさんのやられていることを
信じられていないということです。

それは必ずお客様と接する際のどこか、
例えば口調であったり、
体の動きであったり、
自分自身が気づかないうちに
どこかに現れてきます。

その結果、お客様がYさんではなく
他社を選択する可能性が増してしまいますよね。

つまりYさんは、自分で自分自身の首を
絞めてしまっているかもしれないのですよ。

 

とは言え、ご自身のスピリッツが
オリジナルだと言えるのは
素晴らしいことではないでしょうか?

そのスピリッツをベースにして、
同業数社のいいところを
組み合わせている現在の
ノウハウを、さらに
ブラッシュアップしていけば
いいのではないでしょうか?


僕のこの話が
Yさんのお役に立てたかどうか、
現時点では分からない。

でも帰り際、Yさんは何度も何度も
頭を下げて、お礼を言ってくれた。

彼に、そしてあなたに
何かしらのきっかけがあれば、
これほど嬉しいことはない。

 

阿部 龍太

 

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