老舗寿司屋の親方が教えてくれた「イケメン」と「ハンサム」の違い

「ハンサム or イケメン」

先日のことだ。

お世話になっている方に忘年会に誘って
いただいて、銀座に行ってきた。

10席ちょっとの小さなお寿司屋さん
で、この道20年を超える経験を持つ
親方が出迎えてくれた。

 

お造り、焼き魚、そして握り。

素晴らしい味の数々に加え、親方が
話してくれるお話がどれも興味深い。

ご家族との話、修業時代の話、銀座の街
についての話。

その中でも特に興味深かったのが、

「イケメンとハンサムの違いについて」

というものだった。

 

「イケメン」≠「ハンサム」

親方は言う。

「最近はハンサムが減ったように思うんですよ。

どちらかと言うと、イケメンの人が増えてきているように思うんですよね」

 

親方曰く、

ハンサムな人=中身を重視する、本物を求める人

であり、

イケメン=中身よりも表面を求める人

とのことだ。

 

つまり、

「中身を重視する本物を求める人が
減ってきており、表面的な部分ばかり
を重視する人が増えてきている」

ということなのだ。

 

これは飲食の世界に限った話ではないだろう。

中身が無い、つまりお客様の根本的な
問題の解決、成長や喜びに繋がるような

「本物」の商品やサービス

ではなく、表面的に問題が解決した
ように見せるだけの

「本物のように見えるだけの」商品やサービス

を提供する企業、そしてそういう
商品やサービスを良しとする消費者。

そういう状況は、色々な業界でも見られている。

 

「でもそれも、仕方ないことなのかもしれません。

何故なら『本物の素晴らしさ』をご存知ないから。

何が「本物」なのかを知らない人ばかりなのですから」

と言う親方の横顔に

「そういう状況だからこそ、自分たちは本物を伝えていくんだ」

という、職人としての矜持を見た気がした。

 

そしてこれは、親方のような一部の
素晴らしい職人だけができることではない。

あなたにだって可能な事だ。

そのためにあなたがすべきこと、それは

 

1.あなたにとっての「本物」とは何か?

2.あなたにとっての「偽物」とは何か?

3.なぜ、お客様にとって「本物」が必要なのか?

4.「本物」を提供するために、あなたが今出来る事は何か?

 

これらを明確にし、4で設定した行動を続けていくというものだ。

 

定義にもよるけれど、「本物」が持つ
「パワー」というものは、そうでない
ものと比べて圧倒的に違う。

存在感というか、物理的な物質では
ない、それこそ「魂」のようなものが
込められている。

それがそこはかとなく感じられる。

僕自身もまだまだだけど、親方のような
「本物」に少しでも近づきたいし、
そういう人と一緒に歩んでいきたい。

改めてそう思わせてもらったひと時だった。

 

それにしても、銀座という、厳しい顧客
ばかりが集まる街で20年以上職人を
続けるって、本当に凄い事だと思う。

そういう「本物を伝える人たち」の
素晴らしさを知ること、

そしてその素晴らしさをひとりでも
多くの人に伝えること、

こういったことこそが、
僕たちに出来る事なのではないだろうか。

 

「低級な人は低級な味を好み、低級な料理と交わって安堵し、また低級な料理を作る」

これは、美食家でもあり芸術家でもある
北大路魯山人の言葉。

これは逆を言えば「本物」とそれに
関わる人が増えれば人間の質も本物に
近づいていくということではないか。

僕は以前からそんな根拠のない確信を
持っていたのだけど、今回親方の
お話を伺って、更にその思いを強める事が出来た。

 

親方、ありがとうございます。

 

阿部 龍太

 

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